2011年08月11日

第1回八千代市N-1グランプリ2011に参加してきました!

8月9日の夜、八千代市農業協同組合本店にて、若手梨農家たちの熱ーい戦いが繰り広げられました。

誰が作った梨が、一番うまいのか?!

渾身の一切れを、見た目ではなく「味」だけで勝負するという、いまだかつて試みたことのない勝負・・・その名も「N-1グランプリ」。

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↑ 決戦の場に選ばれたJA八千代市本店。開始時刻19時前の夕暮れに包まれた駐車場には、続々と出品者が集まってまいりました。

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↑ 会場は2階奥にある会議室。

八千代市は大正時代から続く梨産地で、栽培が始まって間もなく100年になろうとしています。
市内に数多くある梨農家では、皆がそれぞれ「自分の作る梨が一番おいしい!」と自信を持って作り続け、3〜4代目となる若手に引き継がれつつあるわけですが・・・意外なことに、自分の家の梨以外、食べたことがないんですって!!!特に若手の親世代あたりから、“手塩にかけて大切に育てているよそ様の梨を、無断でチェックしているようで食べては申し訳ない”という暗黙の風習が出来てしまっていたんだとか。
『梨の品評会は行われていますが、これは専門家など第三者が審査員を務めますから、生産者自身は受賞した梨と自分の梨がどう違うのか、どういう食味が考慮されたのかを実際に体感することができません。普段から他の梨を食べないのに、まさか受賞者に味見をさせてとも言えませんし。
けれども自分たちが梨の技術向上のために勤しんでいる中で、やはり“美味しい梨づくり”を目指すには自分の梨だけで変化をみるのではなく、どんな取り組みがどう梨の味に反映されていくのか、食べ比べて知る機会は不可欠だと感じたのです。』

そう考えたのが、20代〜30代の若手梨農家で構成される八千代市梨業組合研究部の方々でした。
以前は研究部に50代まで参加し大所帯だったそうですが、もっと若手に好きなように取り組めるように、サポートはするけれど実践からは外れようということで現在の14名構成になったそうです。
今までタブー視されてきた食べ比べの発想が出たのも、若手ならでは。
実施の際には梨業組合会に相談されたそうですが、やりたいと思ったことはどんどんチャレンジすれば良い!と後押ししていただけたんだとか。

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今回は、研究部14名全員がそれぞれ持ち寄った幸水梨のうち、一番おいしい!と思った梨に自分たちが投票するという“生産者間投票”というスタイル。この審査には、研究部メンバー14名のほか、消費者代表1名の投票も加わるのですが・・・僭越ながら、この消費者に私を選出していただきました!!!!!

梨マップ、頑張って作り続けてて良かった!!!

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↑ 今年のMVP(Most Valuable Pear Farmer:若手最優秀梨農家)に輝いた方には、千葉県千葉農業事務所所長から表彰されます。超立派なトロフィーじゃないですか!

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↑ 続々と集まる関係者や取材陣の方々。初めての試みに皆さんソワソワしている中で、「梨食べれるのー!?」と嬉しそうにはしゃぐなび長男・・・。

定刻の19時を過ぎ、いよいよ記念すべき第1回八千代市N-1グランプリ2011がスタート!
まずは、今回の主催者でもある研究部部長の宮崎修一さん(丸新梨園)から、挨拶の前に大切な報告がありました。

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『3月の震災・原発事故によって懸念されていた梨への放射能汚染ですが、これから最盛期を迎える直売所にとって大変気にかかるものでした。そこで研究部を主体として検査を依頼したところ、ヨウ素・セシウムともに検出されませんでした。この結果は、梨生産者の皆さんにとって大きな支えとなると思います。』
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↑ 平成23年7月28日付 幸水梨の放射能測定結果書 本紙コピー

『改めまして、N-1グランプリ開催にあたりましては、この審査を通じて客観的に自分の梨を見て、また比較することで栽培技術の向上の目標としてもらえればと考えています。今年6月佐賀で開催された全国大会に参加した際、研究員の方が“梨の栽培に満足したときは辞めるときだ”とおっしゃっていました。MVPを受賞した生産者にとっては大きな励みになり、受賞できなかった場合も自分が美味しいと思った梨農家の技術を学ぼうという意欲につながるでしょう。“疑問を持ち続けること”、“向上心を持ち続けること”、これが美味しい梨づくりへのモチベーションとして、N-1が役立っていくことを願っています。』

そして、八千代梨業組合長の宮崎敏勝さん(豊梨園)からはこんなお話も。

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『梨は嗜好品ですから、10人全員が同じ味や食感を好むことはないでしょう。100%全員がうまい!という梨が選ばれるのは難しいでしょうが、ぜひ正々堂々とそれぞれの家の梨を味わってみて、参考にしたい食味の梨があればどんどん栽培方法を研究してください。このN-1グランプリを通じて、生産者同士が競い合うことで市内全体の底上げを図り、八千代の梨の美味しさを全国にアピールできる機会になっていけばと思っています。』

続いて、今回の審査要綱についての説明が行われました。

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【出品企画】幸水の2L(16玉サイズ)を4玉
【審査方法】
1.グループ分け
(1)非破壊糖度計による糖度測定を4玉全て1ヶ所ずつずつ行い、各生産者の平均糖度を出す。
(2)糖度がばらけるように以下のとおりA・B・Cの3グループに分ける
Aグループ:糖度1位、6位、7位、12位、13位(5名)
Bグループ:糖度2位、5位、8位、11位、14位(5名)
Cグループ:糖度3位、4位、9位、10位(4名)
2.食味審査
(1)グループ内1位決定
生産者及び消費者代表による食味審査。審査対象の梨(生産者は分からないよう匿名)を一人一切れずつ食べて、各グループごとに最も美味しいと思った梨1点に投票。同点1位の場合は糖度が高いものを優先する。
(2)最終選考
各グループ1位の梨3点の食味審査を上記(1)と同様に行い、MVPを決定する。

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↑ 各グループそれぞれの梨の食味メモ(甘味・酸味・歯触り・香気など)をつけながら判断していきます。

それから審査用の梨皿がAグループから順に並べられ、いよいよ自分の味覚との真剣勝負が始まりました!!

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↑ 8等分にカットされた梨がお皿に盛られた状態で登場!どの梨が誰の梨なのか、一切分かりません。実際に梨農家さんに伺っても「まだカット前なら何となく手触りでわかることもあるけれど、こうなっちゃうと全然わからないなぁ」と戸惑い気味。
取材の方々が一斉に梨にカメラを向ける様子に、気分もなんだか盛り上がってきます!


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↑ 食べた順番で審査に偏りが出ないように、各梨の前に3名ずつが並んで試食の列をスライドしていくという方法がとられました。どれもみずみずしく美味しそうな梨!!

どれも朝に採れたばかりの、自慢の梨ばかり。
普通にスーパーで売られているような販売ルートとは違って、木で熟してからもいだみずみずしさや香り高さは半端ありません!
高レベルな梨、しかも同じ幸水という品種に、どう差をつけていくのか?!

皆さん唸りながらも、手元のメモへ思い思いの感想を書き込んでいきます。
そして、自分の好みの梨の番号を投票用紙に書き込み、投票箱へ。

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決戦は粛々と行われていくのかと思いきや、もう食べてるそばから「いやー!これは甘いなー!」「全然食感が違うわ、ダントツここのグループはこの番号に決まりだな。」「自分はこっちも迷うんだけどねー」と、それぞれの梨についての評価話が盛り上がりまくり。
なんといっても、誰が出品しているのか分からない点が、遠慮のない批評を後押し!ここまで客観的に、こんな数を食べ比べることってそうそう出来るものでもありません。

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それにしても、同じ品種なのに、どうしてここまで食味に違いが生まれるんでしょう?!
梨園マップを作っているときにも、同じ梨はひとつとして無い!と心から思いましたが、こうして14点を同時に食べ比べても、やっぱり全く同じ味わいの梨はひとつもありません。
甘い!と思っても、それがはちみつ系のねっとりした甘さだったり、すごくフルーティな香りが溢れる甘さだったり。歯ごたえもシャリ感は抜群でも少し舌触りがざらつくかな?という梨もあれば、もう少し歯触りが強めだと言いけど他にはない滑らかさがある!といった違いなどなど。

どれもひとつひとつ頂く分には、それぞれの特長ある美味しさがあって楽しめるんです。
それを利き酒のように並べてしまうと、好みで差を付けざるを得ませんから、ちょっと勿体ない感じもします・・・でもここは、N-1グランプリの場!
心を鬼にして、投じる1票を選ばせて頂きました。

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↑ 第3グループに差し掛かる頃には、さすがに満腹感が・・・。ここまでで2Lサイズを10切れ食べているんだもの。とは言え真剣勝負!大切な一票を投じるべく、根性で味をチェックしていきます!

全て投票を終えるとすぐに集計作業が行われ、各グループの1位が発表されました。
Aグループからは「B」、Bグループからは「J」、Cグループからは「K」が選抜!
「おー!やっぱり!!」という思いもあれば、「あー!みんなそっちだったかー!悩んだんだけどなぁー!」という思いもあり。
ほんのわずかな食感の好みや甘さの傾向で決まっていくシビアさが、N-1の醍醐味と言えそうです。

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↑ さあ、ここからMVPが選ばれます!!

最終決戦は、予想外な展開となりました。
最初の印象と大きく異なった梨が出てきたりしたのです。やはり自然のものですから、同じ農園で作られていても、全く同じ味わいが再現されるとも限らないのか・・・あー!私の中では本命だっただけに、ちょっと残念!!と思う梨がひとつありました。
逆に、えええ?!さっき以上にすごいのが出てきた!!このコクでこのみずみずしさ?!と唸ってしまう梨。そして、うわ!こっちも後味が最初よりキレがあって好みだわー!なんていう混戦状態。

皆さん、かなり悩んだでしょうね・・・だってMVPは1〜2票差という、超僅差だったんですもの!!

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↑ この手元の封筒の中に、最終結果が入っていますよー。

まずは今回出品された14点の平均糖度が発表されました。
ずばり、13.2度!!
13度を超えるような梨は、広告だったらまず間違いなく前面に糖度を押し出すくらい、甘い梨です。それが平均というのだから、レベルの高さが違います!

そんな中でも、見事1位選抜となったB・J・Kそれぞれの生産者が発表されました。
(どんな梨だったのか、なび子評もご参考までに。一回戦・決勝戦の総合的な評価です)

B:綱島 弘光さん(マル乃 綱島梨園
なび子評/はちみつ系のねっとりした甘さが、食べ終わっても後まで残るくらい強い甘味。少々柔らかめながらも、滑らかな舌触りで、コクもある。

J:宮崎 修一さん(丸新梨園
なび子評/フルーティで爽やかながらも強い甘さ。滑らか且つ程よい食感、みずみずしくもコクがしっかり。

K:山崎 典正さん(まるきん梨園)
なび子評/砂糖系のすっきりした後に残らない、それでいて力強い甘さ。シャリ感がありつつコクもある。梨らしい心地良い歯ごたえ。

どの梨も、食べてみたくなるでしょう???
こんな中からひとつを選ぶんですから、本当にどの品が選ばれても文句ないくらいなのですが、見事MVPに輝いたのが、Kの梨を出品した山崎 典正さん(39)でした!!

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↑ 皆さん、心からの拍手喝采!山崎さんも取材陣に囲まれて、一躍時の人に!!

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↑ 「研究部メンバーで最年長なので、面目が立って嬉しいです!」とコメントされる山崎さん。梨園マップではまだ直売所めぐりが出来ていないんですよねー、まるきん梨園さんには今年ぜひ足を運ばせていただかなきゃ!

周りの研究部メンバーの皆さんも、早速ご自身の梨づくりにどう生かすか考えていらっしゃいました。
『受賞者の良い部分について、自分の梨にも同じ良い面があればそれを伸ばしていくことをまず一番に考えていきたいと思っています。技術交換会自体は今までも年に数回ありましたが、今回食味をした結果を踏まえて、どの梨の技術について詳しく参考にさせてもらいたいかの良い目安にもなりました。』

一方で、今回は幸水梨を対象にしていましたが、豊水梨でもやってみたい!という声もちらほら。
『豊水のほうが、もっと味に差が出てくるはず。糖度も幸水より高いし、コクや旨味も大きな差が付きやすいのが豊水。今回は幸水自体が8月20日前後が最盛期だから、出品するにはちょっと時期が早かったこともあるし、来年以降の開催についてもまたじっくり検討しなければ。』

皆さんの声になるほどー!と耳を傾けておりましたら、なんとサプライズプレゼントが・・・。

『今回消費者代表としてご参加いただいたなび子さんに、研究部メンバーから梨のプレゼントを差し上げたいと思います!』

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↑ うっひゃー!!!嬉しすぎです!!!有難うございます!!

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↑ 箱の中には幸水だけではなく、築水やなつひかりなど珍しい品種も。しかも生産者のお名前までシールに貼ってあるし!!これで私、「ひとりN-1グランプリ」開催しますわ!

最後の最後に、今回出品されたA〜Nの全14点の梨について、生産者名と「美味しい梨づくりに必要なことは何ですか?」という質問の回答が記載された一枚が配布されました。
これもある意味サプライズ・・・。
先ほどメモしてきた梨の評価と照らし合わせれば、そのうちひとつが「自分の梨」へ向けたコメントになっているわけです。その結果が良くても悪くても、どこを軌道修正すれば良いのか自己判断できる、またと無い貴重な機会となりました。

結果に正面から向き合うことは、大変厳しくもあるけれども、とても有意義なイベントでした!
来年の開催に向けて、より一層美味しい梨づくりに励まれることと思います。
八千代の梨が市内はもちろん、全国にこの美味しさが伝わるよう微力ながら私も梨マップづくり、頑張りまーす!!

【今回の出品者一覧】
※美味しい梨づくりに必要なことは何ですか?の回答も付けました。皆さん梨づくりに大変まじめに向き合って努力されています!14名のうち10か所はもう現時点で回っていましたが、それぞれの美味しさがあるので、私はそうはいってもやっぱり“どれが一番?”と聞かれても、比べられないんですけれどねー・・・。

★宮崎 貴文さん(マル文 豊梨園
 ⇒日当たりを良くする。しっかり受粉し、早めの摘果で大玉をつくる。
★綱島 弘光さん(マル乃 綱島梨園
 ⇒土づくり(鶏ふん堆肥)
★宮崎 真一郎さん(丸勘梨園
 ⇒基本技術を行ったうえで、畑が本来持っている土性を生かす。
★綱島 祐介さん(梨園 またべー
 ⇒土づくり(貝殻などのミネラル)
★周郷 崇さん(周郷梨園
 ⇒日当たりを良くする。
★加藤 孝一さん(まる三 興梨園)
 ⇒土づくり(もみ殻雑穀堆肥)
★白井 靖嗣さん(果秀園
 ⇒樹勢。堆肥は使わずに有機配合肥料を使う。
★綱島 洋平さん(丸富梨園
 ⇒日当たりを良くする。
★山田 貴弘さん(山田梨園)
 ⇒土づくり(牛ふんもみ殻堆肥)
★宮崎 修一さん(丸新梨園
 ⇒日当たりを良くする。土づくり(馬ふんワラ堆肥)
★山崎 典正さん(まるきん梨園)
 ⇒病気を出さない。土づくり(馬ふんワラ堆肥)
★山崎 宏洋さん(山崎園
 ⇒日当たりを良くする。土づくり(牛ふんもみ殻堆肥)
★宮崎 徹さん(マルト梨園
 ⇒土づくり
★齋藤 裕之さん(齋藤農園)
 ⇒収穫時期を見極めて、完熟させてから収穫する。

〔関連ページ〕八千代ナビ!八千代の梨園マップ


posted by やちなび子 at 00:00 | 千葉 ☁ | Comment(0) | やちなび取材のおまけ情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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