2012年08月11日

一番うまい梨決定戦!『第2回八千代市N-1グランプリ』に行ってきました

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今年もいよいよ梨シーズン到来!
人気の品種“幸水(こうすい)”が最盛期を迎える8月中旬を前に、八千代市内の若手梨農家によるバトル「八千代市N-1グランプリ」が8月10日(金)19時から行われました!
今回は初めての試みで、事前に募集した子供審査員に決選投票をしてもらうことになりまして、会場もより大きな農業研修センター2階ホールにスケールアップ。
⇒第1回目の様子はこちら/第1回八千代市N-1グランプリ2011に参加してきました!

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↑ JA八千代市や直売所グリーンハウスの奥にある建物です。

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↑ 前回に引き続き、消費者特別審査員としてお声をかけていただきましたワタクシ、なび長男と一緒に参加させていただきました!

若手梨農家としてこの大会に参戦するのは、20〜30代の若手梨農家で構成される八千代市梨業組合研究部14名。人数は昨年と変わらないものの、1名卒業、1名加入と若干メンバーが変わったとのこと。
本来はこの14名全員が出品するはずでしたが、1名だけ今回の大会に幸水の育ちが間に合わないという理由で不参加となってしまいました。
幸水がピークを迎えるのは本来お盆を過ぎた8月中旬頃から。
ちょっと早めに設定されているうえに今年は少し生育が遅れ気味のようで、残念ながら13名によるバトルとなりました。

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↑ こちらが第2回八千代市N-1グランプリの会場!!

昨年の第1回目のときは15名全員の梨を、全員で食べ比べて審査を進めていったのですが・・・とにかく「お腹一杯!」。
さすがに全部の梨に違いがあるとはいえ、どれが良いか比べていると、次第に舌がぼやけてきて何が何だか分からなくなるという問題も・・・。ということで、今回は全部を審査せず、3グループに分けて各自4〜5個の梨を担当するというシステムに変更されました。
そのグループ予選を勝ち抜いた3点が決選投票に進出し、子供審査員はこの3つのうちどの梨が一番おいしいかを投票してもらうというやり方です。

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↑ 今回の審査方法やアンケートなどがバインダーに挟まれ、参加者に配布されます。

★審査方法
【出品の規格】幸水の2L・16玉サイズを5玉提出
【グループ分け】糖度計による糖度測定を行い、糖度順でグループA〜Cの3グループに分ける。
Aグループ:糖度1位・6位・7位・12位・13位
Bグループ:糖度2位・5位・8位・11位・14位(このうち1点は、今回不参加)
Cグループ:糖度3位・4位・9位・10位
【大会当日の進め方】
(1)グループ予選
出品した生産者13名及び消費者特別審査員1名による食味審査を行う。なお、各グループには出品者本人が審査に入り、消費者特別審査員はCグループに加わる。
対戦表のとおり2個〜3個ずつ食味審査を行い、美味しいと思う梨の番号を書いて投票。
計3回の投票を経て、グループ内の1位を選出する。
※審査時は梨の生産者名は匿名としています(審査を行う生産者は、どの梨が自分の梨かは知らされていません)。
※番号はランダムに付けられていて、糖度順位とは関係ありません。

(2)決選投票
各グループから選出された1位の梨を用意。計3点の梨を、生産者及び消費者特別審査員に子供審査員14名を交えて食味審査。美味しいと思う梨をひとつ選んで投票する。
※同点の場合は糖度の高いものを上位とします。

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↑ 当日不参加分、Bグループからひとつ減りました(黄色のバツ印)。私はCグループの審査に加わりました!

開会時刻の19時に向かうにつれて、続々と審査員に選ばれた子供たちや保護者の方々が集まってきました。
募集は10組程度ということだったのですが、多くの応募があったそうで厳正なる抽選の結果、13組のご家族をお招きすることになったとのこと。ちなみにうち1組が双子ちゃんということで、子供審査員は計14名となりました。
⇒今回の子供審査員の募集内容はこちら
八千代市在住の小学生ということでの募集でしたが、会場となるゆりのき近辺だけではなく、高津方面などからの参加者も多く、しかも特に男の子の割合が高かった!!
なび長男も梨が大好きですが、男の子に人気の果物なのかしら??
ちなみに小学2年生からの応募が一番多かったとのことです。

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そして19時をまわり、いよいよN-1グランプリ2012開会!!
まずは研究部部長の宮崎貴文さん(まる文梨園(豊梨園))からの挨拶です。

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『第2回目を迎える今回、ぜひ“生産者の常識を壊したい!”という目的を持って大会に臨みたいと考えています。その常識というのはふたつ。まずは自分たち農家が考える「うちの梨が一番おいしい!」という意識です。今まではあまり他園の梨に興味を持ってきませんでしたし、むしろ“手塩にかけて大切に育てているよそ様の梨を、無断でチェックしているようで食べては申し訳ない”という暗黙の風習がありましたが、前回の大会を通して初めて自分以外が育てた梨を口にし、その味わいの違いや栽培方法だったりに興味が向いたのではと思います。今回もさらにその意識を高めて、従来の概念を変えることというのがひとつ。
そして、“八千代市が梨の産地である”という常識です。
近年ここ八千代市には新しい住民の割合が大変多くなり、梨園が豊富だということを知らない方が増えてきています。実は生産者だけの常識になってきているのではないか?という考えに立ち返り、そういった方々に向けてさらなるアピールが必要であると考えています。市民の皆さん、子供たちに今回集まっていただいた狙いのひとつでもあります。』

そして、八千代市梨業組合長の小林隆さんからの挨拶が続きます。

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『八千代市内の梨農家は、最近減りつつありまして、現在約70軒ほどになりました。そうした中でもこの研究部に所属する若い世代が、後継者として頑張ってより良い梨づくりを盛り上げてくれています。
千葉県内には市川や白井など梨が有名な市が多いですが、八千代の梨は他とは違いスーパーなどの店先にはあまり出回ることがありません。直売所でほぼ完売するほど、毎年多くの方が足を運んでくださるような、大変消費者に恵まれた土地柄なのです。』

お二人の挨拶のあと、来賓紹介を経て、昨年MVPを受賞した山崎典正さん(まるきん梨園)からトロフィーの返還へと続き、いよいよグループ予選へ!
子供審査員が活躍する決選投票までの間、その様子を見学しても良し、もしくは会場に用意されたパネル展示コーナーで千葉のなしについての紹介を聞いたりして過ごします。
ちなみに展示コーナーでは、梨の試食も!!

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↑ どうして“味が自慢”の千葉の梨なのか?どんな品種があるのか?などなど、梨のひみつが小学生にも分かりやすく説明されています。

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↑ 奥のパネルでは、八千代市の農家の取り組みについても紹介。より良い梨を求めて、通常苗から育てる梨を種から生育する取り組みや、害虫への新しい対策など。

・・・って、あれ??

いつからそこにいたんですか!!

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↑ まさかのスペシャルゲスト「チーバくん」。かわいすぎるー!

子供たちがチーバくんと遊んだり、写真を撮ったり、梨を食べながら説明を受けている間、運ばれてくる13点の梨を前に予選がスタート。
私が審査に加わったCグループには、昨年の共進会(豊水の部)で八千代市長賞を受賞した山中園の齋藤裕之さん、丸富梨園の綱島洋平さん、山崎園の山ア宏洋さん、またベーの綱島祐介さんの4名が出品した梨が用意されました。

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↑ カットされた梨はどれも同じように見えます。これを一切れずつ食味審査し、よりおいしいと感じる梨に投票します。

はじめに11と12の梨を食べ比べて投票。
さらに13と14を食べ比べて投票し、結果それぞれから11と13が勝ち上がりました。
第1回の選定では一気に5種類ずつ食べ比べての投票だったので、今回は判定がとっても簡単!それだけに、割とサクサク進むので色々と梨農家の皆さんと会話をする余裕も。

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↑ 今回の食味評価票には、甘味、酸味、硬さ、肉質、香気、渋味の6項目について評価しやすくチェック項目が設けられていて有り難かった!

Cグループで出品されている梨園は、すべて以前直売所に伺ったことがあります。
皆さんさまざまなコンテストでの受賞歴をお持ちで、私の一押し直売所ばかり!
山中園さんは豊水やあきづきしか頂いたことがありませんでしたが、ほかの3園は最盛期の幸水を口にしたことがありましたから、なんとなく方向性がつかめるかな?と思っていたのですが・・・うーん、想像以上にイメージと違う梨がちらほら。

皆さんは、食べてみて自分の梨だと分かりますか?
『いやー、幸水は難しいね。豊水なら味の濃さや甘み、酸味のバランスとか特長が多いし個性も出やすいんだけれど。それに梨はやっぱり最盛期が美味しさもピーク。同じ梨園の、同じ木に生る梨であっても、時期によって味に変化があるんですよ。収穫シーズンは、毎日のように玉の色づき具合などを見ながら食べて、味の変わり具合を確認しているんですが、見た目がいくら最盛期のベストな状態であっても、収穫時期によって全然うまみが乗ってなかったりします。特に収穫し始めや終わり頃は、全然味がしないときもありますよ。最盛期は甘味がかなり安定しています。やっぱりどの品種も最盛期にぜひ召し上がっていただきたいですね!』

なるほどー!収穫時期で、そこまで味に変化があるとは!
以前食べたときに比べて甘さが乗り切れていないように感じたり、香りが弱かったりというのも、開催のタイミングがやや早めなので幸水の最盛期に味わった印象と比べてしまうとどうしても見劣りしてしまうのかも。正直なところ、第一回目のほうが甘さひとつ取ってもコックリした甘さ、すっきりした後味、はちみつのような甘味、などなどバラエティが感じられたのですが、今回はちょっとレベルがそこまで至らなかったような印象も。やはり生育の遅れが響いてしまったのかしら・・・。
逆に、最盛期の梨を食べ比べたら、どれもレベルが高くて個人の好みで左右されたりとかなり混戦しそうだわ!

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↑ 予選進行中の皆さんの様子

ところで今年の梨の出来栄えはどのような感じなんですか?先日ちょっと市内を回ったとき、なんとなくどの直売所も玉が大きい印象を受けたんですが。
『今年は梅雨の時期に日中晴れて、夜中雨が降るという天候が続いたんで、玉が大きく生育しやすかったんですよ。また、例年以上に暑さが続いたので病気が発生しやすく、摘果を通常より多めに行ったことで、結果的に一本の木に生る梨の量が少なくなって玉が大きくなったということもありますね。
豊水は7月に低温が続くと、果実の一部が透明に痛んだように見えるうるみが発生して収量が減ってしまうんですが、今年はその影響もなかったので豊水も期待できそうですよ。
あとは、9月以降に雨が多く降ると新高が食感良く仕上がるので、来月以降の天候も気になるところです。』

ちなみに皆さんからは、豊水で勝負したらまたちょっと味に差が出て面白いという声も。
幸水は「甘み」勝負だけれど、豊水のほうが味に奥行きがあって生育にも自然と力が入るとか。
一般受けが良いのは酸味がほとんど無い幸水ですが、9月以降に最盛期を迎える豊水の魅力もぜひ知っていただきたい!とのこと。
『酸味が気になるのは、芯の部分を浅くカットしてしまうから。幸水のように芯に酸味が無い梨と違って、もっと贅沢に芯を取り除くのがポイント。そしてできれば大玉を選ぶと可食部がそれだけ多くなるのでオススメです(芯の太さは一定で、玉の大きさに比例しないので)。』

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なかなか梨農家さんにこうしてゆっくりお話を伺える機会がないので、ついつい私も聞き込んでしまいましたが・・・審査は着々と進みまして、各グループから決選投票に進む1点の選出が終了しました。
前のテーブル3か所に、カットされた梨が続々と運ばれて、いよいよ子供たちに声がかかります。
つまようじを手にひとつずつ口に入れ、真剣な表情で選定をする姿が印象的!

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↑ テーブルをひとつずつ回って、一切れずつ食味チェック。

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↑ うーん・・・と唸りながら、黄色の投票用紙に書き込む子供たち。

無事に全員の投票が済むと、開票結果が出るまでしばし自己紹介&感想タイム。
子供審査員として参加した感想や梨について、ひとりずつマイクを向けていきました。
夏休みの良い思い出になった、梨が美味しかった!、梨を沢山食べれた、甘酸っぱくておいしかった、などなど、やや緊張しつつも笑顔で子供たちが一言ずつお話してくれました!

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前に並んで子供たちの話に耳を傾ける研究部の皆さん。
『普段は畑で仕事をするばかりで、こうして直接感想を聞ける機会はなかなかない。このような消費者との交流の場を通じて、“期待を裏切らない梨づくり”に力を注ぎたいと思える。美味しい!と言ってくれる八千代梨のサポーターのために、一層の向上を図りたい。』という感想を最後におっしゃっていました。

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そして研究部の方々から子供たちへ、研究部所属の梨園で使える「梨引き換え券」、おいしい果物の選び方冊子、レアなチーバくんシールシートなどがクリアファイルに入ったプレゼントが手渡されました。
1,000円分の袋梨と交換できるチケット入りとは、なかなか豪華です。

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さあ、結果発表!!
今年のMVPはどの梨に決まったのでしょうか?!
自分が投票した梨が何位なのか気になり、なんとなくソワソワした空気に包まれた会場に、第3位から順に紹介する声が響きました。

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第3位は、綱島弘光さん(まる乃梨園)が受賞(写真左)。
そして準MVPには、研究部長の宮ア貴文さん(まる文梨園(豊梨園))(写真右)が選ばれました!

2012年のMVPは、Cグループからの選出!
山ア園の山ア宏洋さんが、見事受賞されましたー!!

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↑ おおおー!と歓声が上がる中、MVPとして表彰される山ア宏洋さん。子供審査員代表の女の子から、トロフィーが授与されました。

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↑ 何とも嬉しそうな山アさん。『ぜひ豊水の時期にも足を運んでくださいね』とのこと。自家製堆肥を使うなど土づくりに大変力を入れている梨園さんです。 

今回出品された13戸の梨ですが、平均糖度は13.0度とまずまずの甘さ。
昨年の平均値13.2度には及ばないものの、通常梨の糖度は12度を超えれば十分甘いとされているので、八千代梨のレベルの高さが窺えます。
しかも、高いものでは15度を超える梨もあったんですって!

最後は研究部の方々と子供たち、そしてチーバくんを交えて記念撮影!
そして帰り際には、4個ほど入った梨の袋と消しゴムをお土産に頂いて、20時半頃の解散となりました。

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子供たちが加わったことで会場の雰囲気も前回より楽しい雰囲気で盛り上がり、イベントらしさ溢れる1時間半でした!
今回はグループ毎の決選ということで、出品者全員の梨を口にすることが出来なかったのがやや心残り。
お腹いっぱいにはなるけれど、やっぱり一度にこれだけの種類を味わえる機会はなかなか貴重ですもの。
審査は別にして「どれだけ味に差があるものなのか?」という面白さを、ぜひ子供審査員や保護者の方々にも体験してもらえるよう梨を(極小カットでも十分なので)用意できれば、もっといろいろな梨園に足を運んでみたい!という興味を引き出せたかな??という思いもありつつ。
でもそれはそれで、準備するのがものすごく大変ですね・・・。

来年以降も引き続き開催していきたいとのこと。
また子供審査員の募集があるようでしたら、ぜひ応募してみてはいかがでしょうか?!
とても良い夏休みのイベントになること間違いなし!

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↑ スミマセン、なび息子が思いっきり中央を陣取ってしまいました・・・。子供審査員の参加者の皆さん、お写真のご協力有難うございました!

【今回の出品者一覧】
★宮崎 貴文さん(マル文 豊梨園
 ⇒日当たりを良くする。しっかり受粉し、早めの摘果で大玉をつくる。
★宮崎 真一郎さん(丸勘梨園
 ⇒基本技術を行ったうえで、畑が本来持っている土性を生かす。
★宮崎 徹さん(マルト梨園
 ⇒土づくり
★宮崎 修一さん(丸新梨園
 ⇒日当たりを良くする。土づくり(馬ふんワラ堆肥)
★山崎 典正さん(まるきん梨園
 ⇒病気を出さない。土づくり(馬ふんワラ堆肥)
★加藤 孝一さん(まる三 興梨園)
 ⇒土づくり(もみ殻雑穀堆肥)
★綱島 祐介さん(梨園 またべー
 ⇒土づくり(貝殻などのミネラル)
★綱島 洋平さん(丸富梨園
 ⇒日当たりを良くする。
★綱島 弘光さん(マル乃 綱島梨園
 ⇒土づくり(鶏ふん堆肥)
★綱島 啓太さん(まるツ梨園
 ⇒有機質の配合肥料、減農薬
★白井 靖嗣さん(果秀園
 ⇒樹勢。堆肥は使わずに有機配合肥料を使う。
★齋藤 裕之さん(山中園
 ⇒収穫時期を見極めて、完熟させてから収穫する。
★山田 貴弘さん(山田梨園)
 ⇒土づくり(牛ふんもみ殻堆肥)
★山崎 宏洋さん(山崎園
 ⇒日当たりを良くする。土づくり(牛ふんもみ殻堆肥)

〔関連ページ〕八千代ナビ!八千代の梨園マップ



posted by やちなび子 at 00:00 | 千葉 ☁ | Comment(0) | やちなび取材のおまけ情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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