毎年「梨の共進会」となっていた名称が変わり、「やちよの梨 味自慢コンテスト2012」となりました。そして昨年までは午後3時頃まで行われていたスケジュールも、今回は10時から正午までとかなりタイトに。

10時スタートの予定でしたが準備の都合でやや遅れて、開始の挨拶は20分頃始まりました。
まずは、八千代市梨業組合長や千葉農業事務所の方による、開催にあったっての挨拶や審査方法についての紹介から。
『現在八千代市内には69軒の梨農家が登録されていますが、そのうち46軒が今回のコンテストに出品しました。事前に行われた一次審査で、糖度計を使った糖度チェックを行いまして、上位24点がこちらの会場に並んでおります。八千代市の梨は市場出荷がほとんどされていません。店頭にあまり出回らないので八千代は梨の栽培が盛んだということ自体ご存知ない方が多いのですが、八千代の梨は全般的に糖度が高いことでも知られているんです。ぜひ地元の味を求めて、直売所へ足を運んでいただけたらと思います。』
今回46点の平均糖度は12.8度(梨は11度以上で甘いとされています)、そしてトップの糖度は14.5度もあったそうな!!13度以上で相当甘くて、14度越えはめったに無いので数値を聞いた瞬間フラッとしましたわ・・・。

審査方法ですが、豊水梨の4Lサイズを12玉出品します。
二次審査では、全体的な玉揃い、病害虫やキズによる見た目の良し悪し、カタチの良さなどから判断し、上位数点について食味審査をして、最終的に八千代市長賞はじめ計17の賞を決めていきます。
『これから審査を行いますが、このイベント会場内で進めていきます。梨には手を触れないようにしていただきながら、ぜひその様子を見学してみてください!
同時に、梨をご試食いただけるコーナーと、八千代の梨についてのクイズもございます。問題のヒントはパネル説明をご覧いただくと見つかりますので、ぜひそちらも楽しんでチャレンジしてみてくださいね。クイズ解答者には景品があります!』

↑ クイズには『八千代で梨の栽培が始まったのはいつ?』など、すぐには答えられないような内容も。パネルに書かれた栽培の工夫や梨の歴史などを、皆さん興味深くご覧になっていました。

↑ 試食とはいえ、4Lの豊水をカットしているせいか一切れが結構大きめ!あっという間になくなってしまいますが、次々に新しいものが運ばれてきます。

↑ 4Lサイズの豊水3玉が500円で販売されていました。ちなみに審査終了後は、並んでいる箱の中の梨も袋に詰められて販売されます。あ!今日もチーバくんが!!
前回までは会場前方に箱が並んでいて、集まった方もロープ越しに眺める程度だったのですが、今回は会場内に溶け込むようにレイアウトが大きく変更されたんです。
審査員の方が梨を選定している様子も間近で見られますし、中には「これなんてカタチも良いし美味しそうなんじゃないの?!」と自己審査している方まで!
担当者の方が梨について紹介していたりと、よりイベントらしい雰囲気を出していたおかげで、お客さんはクイズをするだけではなく、「どんな梨が美味しいんですか?」「5kg箱だといつも余っちゃって、保存はどうすればいいのかしら?」などなど、日頃のお悩みを気軽に聞いている姿も多く見られました。
何だか毎年恒例だったイベントですが、今回はいつにも増してすごく盛り上がっている印象です!
余談ですが、お客さんが聞いていた質問についての回答を。
保存については、梨は生ものと考えていただくのが一番!手元に届いたら、すぐビニールに入れて野菜室に保管するのが日持ちのコツです。追熟はしない梨ですが、色づきは進みますし食感にも差が出てきます。まずは赤い梨から食べて、保存してるうちに青いものも赤みが付いてくるので、順に食べていくのがオススメ。
5kg箱だけではなく、3kg箱を扱う直売所もあります(⇒梨マップのトップページ中ほどに一覧を載せています)。少人数のご家庭へ贈るときには、3kg箱も良いですね。
ちなみに、幸水は5kgで3,500円程度が平均的ですが、豊水は3,200円とやや値段が下がります。9月は出回る品種も増えますし、量も多くなってくるからだそうですが、価格の面でも嬉しいですね!
なお、玉の大きさによって同じ品種でも価格は変わってきます。が、豊水ならできれば大玉がオススメ!芯に酸味があるのですが、芯の太さは玉の大きさにかかわらず基本同じなので、大玉のほうが甘味のある可食部分が多く楽しめますよ!
そしてカットするときには、もったいないくらい大きく芯を取り除くのも忘れずに。

↑ 二次審査はまず色・カタチ・キズなどの状態チェックから。糖度順に並んでいる箱を入れ替えて、順位を決めていきます。

↑ カタチがややいびつになっていたり、傷がついていると減点対象に。色味良く、きれいな丸い玉で箱全体の粒揃いが良いものは順位を上げていきます。

↑ 上位6点を食味審査することになりました。ランダムに選んだ梨にナイフを入れて、まずは実の中身に「うるみ」が無いかをチェック。ちなみに梨の中でもとくにうるみが出やすい品種なのですが、今年の7月は平年に比べて天候も良くうるみは出にくいようです。
さらに歯ごたえや食感、豊水らしい甘味と酸味のバランス、濃厚さなどで順位を決定してきます。
今年は梨栽培にとっては大変天候に恵まれたようで、サイズも昨年に比べてかなり大きめに育つ傾向にあったようです。糖度も全般的に高く、レベルの高い美味しい梨になっているとか。
とはいえ、ニュースでは雨が少なく農作物への被害も取り上げられていますし、水不足という面ではどうなんでしょう?と伺ってみました。
『梨にとっては降って欲しい梅雨時期などのタイミングに、きちんと雨量が確保できていましたし、夜間に降ることが多かったので日照時間も十分ですよ。』
以前、梨づくりには水よりも日照時間が重要と聞いたことがありましたが、それでも雨が少ないときには水を撒いたりするんですか?
『中には水を与える農家もいますが、基本的にはあまり八千代市内では水撒きをするところは少ないんじゃないかな。水を余計に与えると、せっかく糖度の乗った味がぼやけてしまうんですよ。その代わり、果実は大きく育ちます。スーパーなど市場で売るとなると、玉の大きさで値段が決まってしまうんで、より高く売るために自然の雨以外にも水を人工的に与えるケースも。特に市場では傷みも懸念されますから、水撒きで大玉にしておいて、味の乗らない青いうちに収穫して配送中に色を付けるということもあって、特に豊水などは甘みもなく酸味だけで美味しくないという印象がつきやすいんですよね。
直売所の豊水は熟したものを扱えますし、市場に卸さないから玉の大きさを気にせず自然に任せたサイズを販売しますから、市販された梨とはやはり味わいが別格ですよ。』

すべて審査を終え、いよいよ賞が振られていきます。
審査中はすべて番号で扱われ、誰が出品したものかは全く分からない状態で行われるのですが・・・なーんと!1位を獲得したのは、昨年と同じく山中梨園の斎藤裕之さんでした!!
すごい、連覇です!!
※裕之さんのお父さんは「看板は“山中梨園”なんだけど、本当は“山中園”なんだよ。」とおっしゃっていたので梨マップにはそう記載したんですが・・・、裕之さんは山中園と言っていた!どっち??(今度ちゃんと聞いてみます。)
『糖度ではもっと高いものもあったのですが、甘さだけではなく豊水らしい味わいで、濃厚さが際立ったことが八千代市長賞に選出した理由でした。』と審査員の方。
2位「千葉県園芸協会長賞」は櫻井清二さん(直売所:八千代市麦丸907/櫻井梨園さんへ向かう途中のTOTO看板右あたり。宅急便ののぼり旗がたっています。ちなみに櫻井梨園さんとは親戚関係にあるそうですよ!自宅兼直売所としてひっそり販売されているそうですが、とても甘くて評判の良い梨やさんです。)
3位「八千代市議会長賞」は斎藤誠さん(直売所:八千代市麦丸1127/JA八千代市の裏手側、農道沿いの左側にある“斎藤農園”が直売所です。)

4位「千葉県果樹園芸組合連合会長賞」は宮崎守良さん(⇒マル奈梨園)
5位「八千代市農業協同組合長賞」は櫻井正浩さん(⇒櫻井梨園)
6位「千葉農業事務所長賞」は宮崎貴文さん(⇒豊梨園)
7位「八千代市園芸協会長賞」は宮崎修一さん(⇒丸新梨園)
以降、全17の賞が無事決まりました!
どれも甲乙つけがたい品ばかり!会場にあつまった皆さんは「どんな梨を選べば美味しいのか」という参考になるので・・・と眺めたり、連絡先をメモしたりされていました(住所はご自宅の場合が多く、直売所とは限らないので連絡先をメモするのが良いかもしれません)。

↑ チーバくんも八千代市長賞の梨をじっくり見物。
今回の受賞者は、実は麦丸の方々が多いんです。
八千代市内でも微妙に温度差があるようで、今年は麦丸地域が豊水の収穫が早くスタートしたらしいのです。収穫し始めは色づきのわりに甘味が乗りきれてなかったりとあるようですが、いよいよ味も乗った収穫のピークがコンテスト当日に当たったことも要因のひとつにあるとか。逆に村上地域は、麦丸より1週間ほど出遅れたようで、今週以降から味がどんどん乗ってきそう!
そして11時半頃、豊田市長が会場に到着して授賞式が行われました。
市長賞受賞の連絡を受けて駆け付けた山中梨園の斎藤裕之さん、とっても嬉しそうです!

↑ 受賞した梨を見学する豊田市長。食味審査に使った梨を一切れ口にし、顔がほころびます。「うん、甘い!甘い!!」と、その美味しさを絶賛!

↑ 市長の挨拶では、放射性物質検査の結果についても触れられていました。『H24年は直近で7/27に梨の検査を行っていますが、ヨウ素・セシウムともにすべて不検出です。ぜひ八千代の味を安心して楽しんでください。』
最後に受賞された山中梨園の斎藤さんからのコメントを紹介。
『2年連続八千代市長賞をもらえると思わなかったので大変嬉しいです。昨年はまさか受賞できるとはと驚きがありましたが、今年は豊水の出足も良く、焼けた梨が終わって一回りして、いよいよ今日からベストな時期が始まったというタイミングだったので出品した梨には自信がありました。この時期は多少青みが残っていても十分甘さが出て味も濃く、みなさんに美味しい梨を届けられればという思いです。
直売所では出来るだけ美味しいものをご提供したいということから、日持ちはしなくとも十分色のついた完熟したものを並べています。ぜひ山中梨園へお越しください!』

今回のイベントは、約2時間と開催時間が短縮された分、ギュッと凝縮。
梨の販売も審査もすべて同時進行ではありましたが、開始直後から梨についての説明があったり、クイズを楽しんだり、審査状況を見学出来たりと集まったお客さんが長く留まれる雰囲気があって、今まで感じなかったようなイベントらしさ一杯のコンテストとなりました。
まだまだ八千代の梨の美味しい季節は続きます。
10月末頃までいろんな品種が出回りますから、ぜひ直売所に何度も足を運ぶと新しい発見があって面白いですよ!
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2011年09月14日 第26回園芸農産物 (なし・豊水の部)共進会を見学してきました!2012年08月11日 一番うまい梨決定戦!『第2回八千代市N-1グランプリ』に行ってきました
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土屋さんの梨が すごーーく甘かったです